流線と流跡線と流脈線
ここの図がわかりやすいので見てください。
もっと知りたい! 熱流体解析の基礎14 第3章 流れ:3.2.3 流線と流脈線, 流跡線|投稿一覧
イメージが付いたら式で表しましょう。
流線
ここ見てください。
ベクトル場と流線 [物理のかぎしっぽ]
流線の方程式は次の通り
これを積分すれば良い。
たとえば、一定一様な速度場のとき、上の式に代入してそれぞれ積分すれば、
別々の変数の式がイコールで結ばれてるのでこれは定数で、それをとでもおくと、
となり、これはに平行な直線たちです。は媒介変数。
予想通りの結果になってうれしいですね。
ベクトルで表すなら、
とか、
ですね。は媒介変数です。
流跡線
流線の方程式に似せて書くと、
ってなるんですが、気持ち的にわかりやすいのは
のほうだと思います。
例題は自分で適当に探してください。たぶんの2次元の例が出てくると思います。
ベクトルで表すなら、さっき出した式そのまんまで、
です。
流脈線
同じ点でインクをポタポタ垂らしたらできる曲線です。
って言われると流跡線と同じになりそうな気がしませんか?
たしかに落ちたインク1滴1滴は流跡線を描くし、落とされた点を必ず通るんですが、それぞれの流跡線が同じとは限りません。だって出発時刻が違うから。
時刻が違えば同じ点でも(定常流や特殊な場合じゃない限りは)違う速度(ベクトル)をもつわけで、その後にたどる道のりもバラバラになります。
定式化ですが、一般を考えるアタマが足りないので、具体的なのを次の例で見て満足してください。
具体例(2次元流れ)
なんかやたらよく見る例を紹介しておきます。
さっき流跡線のところで言った、2次元の速度場がのときを考えます。
まず流線がどんな感じか見ましょう。
変数分離して積分してやれば、
となります。これが各時刻で速度を繋げた線になります。
Desmosで図かいたんで値てきとうにイジって遊んでください(表示されないときはリンク先で見てね)。
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どんな場やねんこれ
では流跡線はどうなるでしょうか。
を流跡線の式に入れてやると、
計算してやるとでのパラメータ表示になるんですが、わかりにくいのでを消してやると、
となります。これが流跡線。
ちょっと上にスクロールして見比べると、のときに流線と一致することがわかります。これは速度場が時間に依存しないとき、すなわち定常流であるときの特性です。
ちなみに、定常流の場合、流線・流跡線・流脈線の3つが一致します。これを色付き流線と呼ぶそうです。
これもDesmosで描画しておきました。
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流線と流跡線を合わせて表示すると、粒子の流れがよくわかります。
青色が流線で赤色が流跡線です。粒子の動きを追いやすいようにスロー再生しています。
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最後に流脈線を考えましょう。
まずで点を通る粒子の流跡線を特定します。
つまり流跡線の積分定数を決めるってことです。
さっきはを消した流跡線の式を書いちゃったんですが、消さずに書くと、
これが時刻でのときを考えるから、安直に代入してやれば、
ってなって、流跡線の式に戻すと、
となります。不格好ですが後でいじるのでそのままにしておきます。
これが時刻にを通る(通った)点の媒介変数表示で、を動かすとさっきのアニメーションの白丸〇みたいになります。
あとはこの2つの式からを消してやれば良いですね。
の式からを出しての式に代入して、和積公式でゴチャゴチャすると、
これが流脈線の方程式です。
式で見てもなんもわからんので図示しますね。
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ポインターのある位置にインクをポタポタ落とした時に描かれる曲線です。ポインターは動かせるので遊んでみてください。
移動する白丸〇をインクの先頭だと思って見れば、流脈線が形成されていくイメージがわくんじゃないでしょうか。
あたりまえですが、実際の流脈線はポインターの右側にしか存在しません。ポインター左側の曲線は、将来的に点に重なってインクが落とされるところだと解釈できます。
で、これを流線や流跡線と重ねて表示すると、納得がいくわけです。
青色が流線、赤色が流跡線、橙色点線が流脈線です。
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橙色の流脈線が、青色の流線に沿って拡がったり集まったりするのがわかりますか?
流脈線上の各点は、流線に沿って動く粒子だということが理解できますね。
ポインターを動かしたりして遊んでください。
それと、(Desmosでは)がゼロのとき、流線と流跡線と流脈線が一致することを確認してみてくださいね。
これ以上グラフで遊ぶとページの表示に時間がかかるので終わりましょう。お疲れさまでした。